V.A. | Champion
COLUMN 02

V.A. | Champion

REVERSE WEAVE Vintage Wash Sweat

ヴィンテージスウェットの深い歴史と知識、そして「現代だからこそできるモノづくり」の思想について、古泉允章氏('n'clothing)にじっくりとお話を伺いました。


ー まずは今回のコラボレーションのきっかけについて教えてください。

古泉:V.A.とのキッカケは、僕がまだChampionに在籍していた頃に遡ります。源馬さんと色々話をしていく中で、「V.A.という新しいプロジェクトが立ち上がるんだよね」という話をいただいたのが始まりです。V.A.の中で「マスターピースとなるプロダクトを作りたい」という企画が動いた時に、TシャツやスウェットのカテゴリーならChampionだろうとお声がけいただいて。僕はその後Championをやめてしまったのですが(笑)、V.A.の定番TシャツとスウェットはChampionで作っています。そこからの流れで、今回のプロダクト開発に繋がっていったという形です。 

ー 古泉さんはヴィンテージの知識が非常に深い印象ですが、スウェットへのこだわりはどのように深まっていったのでしょうか?

古泉:実は僕のモノづくりの原点って、元々はデニムなんです。ただChampionに入ったことで、ヴィンテージ業界の友人たちから「古泉がスウェットに異動したなら」って、貴重な個体や知識がどんどん僕のところに集まるようになっちゃって(笑)。特にコロナ期間で家にいる時間ができた時に、文献や実物を1から舐めるように調べ上げたんです。Championの前はカバンブランドに勤めていて、その時に『アメリカのスポーツやワーク、ミリタリーといった分野には、その時代の最先端技術が詰まっている』、『最先端の素材やモノづくりは軍やスポーツから生まれる』と教わったことがあるんですけど、その歴史を掘り起こす作業が今の僕のプロダクトの確かなバックボーンになっていますね。

ー 古泉さんが手がける’n’ clothingをみても、ヴィンテージのエッセンスを取り入れるのが上手な印象があります。どのような意識でデザインに落とし込んでいるのでしょうか。

古泉:僕が作りたいものは、単なるヴィンテージの再現とかレプリカではないんです。「今、現代の技術で当時の最高峰を作るならどうなるか」っていう仮定(イフ)のストーリーのようなものを大切にしています。ヴィンテージの本当の面白さって、その時代において妥協なく追求された機能美だと思っているんです。ただ時代が進むにつれて、大量生産とかコストカットの波で色んなディテールが削ぎ落とされていってしまう。だからこそ、その歴史的な背景をリスペクトしながら「本来あるべき機能美」を今の技術やパターンに置き換えて、今に馴染むように表現することを意識していたりします。

ー 今作のディテールを見ても「リブ」の配置が印象的ですが、古泉さんが考えるスウェットにおけるリブの役割とは何でしょうか?

古泉:スウェットで、僕自身が一番こだわりたいのって、身頃の生地以上に「リブのあり方」なんですよ。歴史を紐解くと、コスト削減で真っ先に省略されていったのって実はリブだったりするんです。ヴィンテージのスウェットにおいて、人間の動きに対して力を逃がしたり、補強したりっていう機能は、全部リブが担っているんですよね。なので、今回のプロダクトでは、『リブをどうデザインするか』というイメージで行いました。グラフィックのようなデザインではなく、機能を追求した結果生まれたリブ使いそのものがデザインになっている、という感じです。

ー それでは、商品について詳しくお伺いさせてください。今回のプロダクトのベースに「リバースウィーブ※1」を選ばれた理由は?

古泉:やはり、Championでモノを作るなら、代名詞である「リバースウィーブ」一択なんです。サイドガゼット※2って、ただのデザインのように言われることもありますが、縮みを防ぐこの製法こそが、スウェットを単なる運動着からファッションへ引き上げた最大のイノベーションだとも思うんです。というか、これやらなかったら Championでやる意味がないっていうくらいです(笑)

ー なるほど(笑)改めて、今回のV.A.でのスウェットのデザインポイントを教えていただけますか?

古泉:まず、Championのサイドガゼットっていうのは、1952年に特許を取ったセカンドパテントで、52年に初めて脇にリブがつくんです。それまでは全部横地で取ってて、袖まで肩ハギ抜きで全部横で。

ー 完全T型ですか?

古泉:完全Tです。それまでは横地で全部作られていて、それがChampionのファーストパテントなんです。ドルマンスリーブみたいな感じで。それには襟に両Vガゼットがついてたんですよ。でも、その形は、生産取り都合もすごく悪かったりしていて。コストダウンも含めてだと思うのですが、セカンドパテントになった時に、襟のガゼットは無くなってしまい、サイドガゼットだけになったんです。今回のプロダクトのムードは、年代的にはその1930から50年代の間が狙いたかった。リバースウィーブに、無くなってしまった襟周りのガゼットを、あえて付けたいなと。さらに、元々の襟Vは、製法的に楽だったので、襟元の前後V型に切れ込みを入れてリブを当て込んでいたVだったんですよね。それを今回は襟回り1周にしてるんですけど、このくり抜きVは、技術的に難しいんですよ。ヴィンテージのウールニットとかではあるんですけど。でも、今はこういうことができる。

ー 袖下のリブデザインも同様ですか?

古泉:これ自体もChampionではほぼやってなかったです。リバースでももちろんないんですけど、大体のブランドもやっていない。でも、菱形の脇下だけとかに逃がしのリブとかって付けてるブランドもあったんですよ。ただそれって多分もう出来る範囲の補強なだけであって、今回のプロダクトのように、大きくリブを取るっていうのはウール素材のスウェットシャツでしかほぼ見たことがない。やっぱそこは入れ込みたい。くり抜きVリブと袖下Vリブっていうのは、ただのビンテージリメイクではなくて、今の技術だからあえて入れ込める技術で、今だからのアップデートな感じです。

ー 今回は、黒、ブラウン、ネイビー、グリーンの4色ですが?

古泉:色のムードとしては、アイビーリーグに代表される「東海岸のカレッジカルチャー」を意識しています。Championて、NYなんですよ。なので、ヴィンテージの色合いもカレッジに紐ついていたりする。今期も、黒はPrinceton University。ネイビーがYale College、グリーンはDartmouth College。ブラウンはそのままBrown University(笑)

ー ChampionってNYなんですね!? 意外と知らないかもです。

古泉:ずっとNYです。なので、逆に西側のリバースウィーブってなかなか見つからないです。ロサンゼルスとかサンフランシスコとかっていうデザインは元々年代が遅くなっても出にくくて、UCLAは強豪校なので未だ出てきますが。。。。なので古着で見つける時に、西海岸縛りっていう人、いますよ。西海岸だけ集めてる人(笑)

ー ヴィンテージらしさを出すという意味でもポイントかと思うのですが、商品のサイズ感について、狙いなどはあるのでしょうか?

古泉:元々のベースがLでどう自分が着心地いいかなっていうところがあるんですが、そもそも昔の商品ってLだったらほとんどのメーカーはLである程度一緒なんですよ。例えば、SpaldingとChampionっていうスウェットがあって1930年代っていうとほぼほぼ一緒のサイズなんです。そんな昔のL寸っていうのを作りたくて。そこをベースにアップデートしました。着丈の不揃いさだったり、リブの強さだったり、リブの長さだったり、調整しているのですが、基本の雰囲気というかベースはその当時のサイズ感を落とし込んでいる感じです。

ー 以前着丈の短さというか、後ろが少し跳ねるムード、といった表現をしていたかなと思うのですが、それはヴィンテージらしさみたいなことと近いですか?

古泉:現在は、前下がりと後ろ下がりが綺麗に行くことがパターン的には正解かもしれないですけど、それがこうある意味ファッションの一律化みたいなところに今なっちゃってるところもあるかなと。逆に、『らしさ』ってじゃあどこにあるんだろうと思った時に、生地が退色してくるからっていうよりかは、後ろから見た時の表情が、ヴィンテージっぽいと。僕、前より後ろの見え方が大好きで(笑)

ー V.A.で元々やってるChampionのスウェットと見比べてみるのも面白いですかね?

古泉:面白いと思います。全然違うものになっていると思いますし、ヴィンテージを知らない人でも、なんか違う良さあるな、っていうのは感じてもらえると思っています。

ー 古泉さん的には、どんな感じで着るのがおすすめですか?

古泉:もちろんスラックスとかナイロンパンツにざっくり着ちゃうのもいいですけど、ヴィンテージライクなのでヴィンテージっぽさでいってもいいと思うんです。でも、ヴィンテージらしさの定番みたいなパンツより、例えば、ハンティングパンツとか、ごま塩のスラックスっぽいヤツとかもカッコいいなと思います。当然、デニムにもチノーズは定番鉄板ですけど(笑)

ー 最後に、今回のスウェットを通して着る人に一番伝えたい魅力は何でしょうか?

古泉:昔は手作業でパターンを引いていたので100枚作れば100枚とも微妙に個体差がありましたけど、現代の技術なら100枚作っても同じ高い精度で綺麗に仕上げることもできる。それって今の時代だからこそできる凄さなんですよね。古き良き時代のストーリーやロマンを背景に抱えながらも、今の生産ラインだからこそ実現できたディテールと着心地の良さ。ヴィンテージが好きな方はもちろん、詳しくない方でも袖を通した瞬間に「なんか普通の服と違う良さがあるな」って感じてもらえる一着になっていると思います。部屋着にならない、しっかり雰囲気を出せるスウェットなので、ぜひ楽しんで着てほしいです。

注1)リバースウィーブ®
本来は縦方向に使われる生地を横方向に使用する製法。縦の生地の縮みを防ぐと同時に、両脇に「EXPANSION GUSSET(エクスパンションガゼット)」を付けることで横の縮みへの影響を少なくし、動きやすさに配慮しています。

注2)ガゼット
切り替え布・補強パーツ

2026-B-VBM66170_c01

SHOP NOW

BACK TO PAGE